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 陸海空を駆け巡る強力無比の万能戦艦、「轟天」。 近所のTSUTAYAで見つけた『海底軍艦』です。
 (米国版のタイトルは『Atoragon』。「原子ドラゴン」という意味の造語らしい。米国でも珍しく、ゴジラのようなお得意の改悪はほとんどされていない。『ゴジラ』第一作はアメリカ公開時には舞台をアメリカに、出演俳優をアメリカ人に換えていた。当然「反核」という重いメッセージなんか消し飛んでしまっている。やっぱアメ公はバカだ。『海底軍艦』もゴジラ同様好評だったらしく、これより6年後に制作される『緯度ゼロ大作戦』も「潜水艦映画」だったためか『AtragonⅡ』というタイトルになった)
 デアゴスティーニから出ている「東宝特撮映画DVDコレクション」の一つである。
 昔、友人に特撮ヲタクが居て、名前だけは知っていたのだが縁が無かったのか観る機会の無いままに忘れていた映画ですよ。

 『海底軍艦』という作品が初めて発表されたのが明治33年。日本SFの草分け(の一人?)とされる押川春浪(おしかわしゅんろう)によって書かれた小説である。
 日本海軍将兵が絶海の孤島で極秘裏に当時の秘密兵器である「潜水艦」を建造し、海賊などの悪党たちと戦いを繰り広げる、という冒険活劇小説(武侠小説とも)である。
 潜水艦というのは20世紀初頭ではまだ珍しく、19世紀後半には幾つかの実験には成功していたものの、完全な実用化にはまだ至っていなかった。
 四年後の明治37年(1904年)には日露戦争が勃発するが、ロシア側は日本海軍が当時新兵器として形を成しつつあった(まだ自国が保有しない)潜水艦を導入していると考えていた。
 同年11月にはアメリカから購入したホランド式潜水艇が分解された状態で横須賀に荷揚げされており、日露戦争には間に合わなかったが、ロシア側の推測もあながち的外れとは言い切れなかったようだ。
 ちなみに押川春浪の『海底軍艦』もシリーズ化し、終盤にはロシアを相手に大活躍する事になる。
 (日清戦争終結後の1895年、三国干渉の屈辱外交で「ロシア憎し」との気運が高まり、以後日本は臥薪嘗胆の四文字の下、来たるべき対露戦争に向けひたすら富国強兵に邁進する。単純素朴な熱血漢である押川春浪がロシアを敵国としたのも道理である) 
 映画の方の『海底軍艦』は設定こそ共通する点はあるがそれ以外は全くの別物である。
 太平洋戦争が終わって18年後。突如世界に宣戦布告し、その圧倒的な科学力によって世界各国を次々に侵略し始めた強大な謎の国家『ムー帝国』。これに対し、旧日本海軍の生き残り(大日本帝国の亡霊)である神宮寺大佐とその部下が、絶海の孤島で「勝利」のために極秘裏に建造していた万能戦艦「轟天」で立ち向かう、というのが大まかなストーリーである。(ムー帝国の潜水艦を追跡中に水圧であえなく圧壊してしまう最新鋭潜水艦の名前が「レッド・サタン」。このあたりは原作を引きずっている?)
 
 近代的な潜水艦の登場を予言した小説といえば、有名なジュール・ヴェルヌの『海底二万マイル』が真っ先に挙げられる事だろう。1870年の発表で、押川の『海底軍艦』に先駆ける事30年である。
 この小説に登場する潜水艦「ノーチラス」号も、謎の人物「ネモ船長」によって絶海の秘密基地で建造されたものである。
 ヴェルヌの小説は文明開化に魅了された当時の日本人には非常に人気があり、多くが比較的に早い時期に翻訳されている。『海底二万マイル』は明治13年に鈴木梅太郎によって邦訳(英訳からの重訳か?原文はフランス語)されているから、押川もこれを(夢中になって)読んだ事だろう。
 ・・・平たく言うと、まぁパクリですね(笑
 ただ押川が血の気が多くて想像力が貧困な男だったせいか(実際に喧嘩っ早かった)、「海底軍艦」というくせに「電光」艇はたった深度15メートルしか潜れない反面、ヴェルヌ譲りの先端に付いた衝角(ラム。角みたいなもの)の他にもリヴォルバー式魚雷発射管なども備えた重装備なところはより「兵器」らしくなっている。その分、読む者の想像力が、海底遺跡や美しいサンゴ礁などの見所がある元ネタに比べて刺激されないのが残念か。
 潜水艦または潜水艇というアイディアは古く紀元前からあり、アレクサンドロス大王が大きなガラス瓶に入って海中に潜ったという伝説がある。これとそっくり同じアイディアが落語にもあったりする。
 
 
【ニコニコ動画】落語 桂米朝 小倉船(竜宮界竜都) 
http://homepage3.nifty.com/rakugo/kamigata/rakug122.htm
(【上方落語メモ第3集】その122 / 小倉船)

 ヴェルヌの『海底二万マイル』のパクリ翻案、リメイクといえばガイナックスのアニメ『ふしぎの海のナディア』も有名ですな。こちらは元ネタとは似ても似つかない内容だけど。
 ちなみにこれをパクったのがディズニーの『アトランティス』である。
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Ocean/9219/atlantis.htm
 ディズニーはかつて『海底二万マイル』を映画化していたのにねぇ・・・。

 日本人は本来「技術」というものが大好きな民族で、200年以上もの長きに渡る鎖国の時代にも蘭学によって西洋の科学を知る人が常に居た。からくり人形は言うに及ばず、日本独自の複雑な不定時法に則って動作する和時計などは西洋のクロノメーターなどに比肩し得るほど緻密で精巧な完成度を誇る。
 「地球が丸い」という事実に対してはむしろ西洋人よりスンナリ受け入れたくらいである。
 蒸気船や蒸気機関車に驚きはしたが、警戒する人よりは面白がる人の方が多かった。
 (幕末の遣欧使節団たちを工場や造船所、研究施設に案内した欧米人たちは、チョンマゲに二本差し・羽織袴姿の日本人たちがあまりに機械の原理に精通しているので驚いたという)
 また昔からの民話や御伽噺、落語には突拍子や途方も無い奇想天外でスケールがでかいSFタッチのものも多く、その手の大ぼらを楽しむ文化があった。
 だから科学技術の脅威を警告する内容のものもあるにはあったが、驚異の方も余すところなく描いているヴェルヌの小説は日本人の好みにピッタリ合ったわけだ。
 (明治時代の日本海軍には、全長2キロ・40センチ砲200門装備という化け物みたいな軍艦を考えた人があり、これは真剣に建造が検討されたそうである。・・・すぐに無理だとわかったそうだけど)
 1980年代頃からスチームパンクというSFの一ジャンルがあるが、本場欧米のものはヴェルヌよりはウェルズからの影響が強いらしく、科学技術文明への警鐘を鳴らすような、どちらかというと悲観的な調子のものが多い。一方、日本では「文明開化」の明るさ朗らかさばかりが目立つのは明治時代の気風のおかげだろう。
 船体上部から突き出たプロペラの群れに注意。 (ヴェルヌとて科学技術によるバラ色の未来を盲信していたわけではない。『悪魔の発明』では核兵器の登場を匂わせる描写があるし、『空飛ぶ戦闘艦』では超兵器による世界征服を危惧している。余談だが『ファイナル・ファンタジー』シリーズに登場する飛空艇の初期の頃のデザインには『空飛ぶ戦闘艦』の影響が見られる)
 冷線砲および電子砲を装備、マッハ2で空を飛び、海中を50ノットで航行する万能戦艦『轟天』は形や性能、背後の思想こそ違えど、まさしく明治のロマンの香りを漂わせている。
 (冷線砲というのは、1950年代後半から言われていた家電「三種の神器」で最も普及が遅れていた冷蔵庫からの連想ではないか?当時「冷える」のはオサレだったのだ。またムー帝国皇帝の髪が赤いのも、カラー映画の「真価」を遺憾なく発揮するためだったかも知れない。小津安二郎の映画などもワンポイントで赤いものが登場する。これは当時「赤」という色がオサレだったからだろう)

 敗戦の大きな痛手をまだ微かに引きずっていた昭和30年代当時は高度成長期真っ只中でもあり、「科学技術による人類の進歩と調和」をテーマに据えた大阪万博は映画『海底軍艦』が公開されてから7年後、1970年に開催されている。
 ヘドラ・・・。 「科学技術による進歩と調和」も、公害病原因企業に対する訴訟や石油ショックなどで、60年代後半から徐々に陰りを見せ始める。1971年には同じ東宝から『ゴジラ対ヘドラ』が公開される。
 以後、無邪気な科学技術礼賛は特撮映画には見られなくなっていく。
 映画『海底軍艦』には、日本人がまだ素直に科学を信じていられた時代の、懐かしくも麗しい香りがする。
 日本は米国の物量を前にして敗けてしまったが、技術力では負けていなかった、という信念は明治時代から続く朗らかな科学技術礼賛の伝統から来るのだろう。だからアメリカ海軍(だと思われる)最新鋭潜水艦「レッド・サタン」を赤子の手を捻るように撃退したムー帝国の潜水艦(石棺型潜航艦)の群れを、轟天はいとも容易く一方的に撃破するのである。
 (事実そのとおり、日本の技術力も全体的に見れば米国を凌ぐ点が数多くあった。アメリカの軍事ヲタには大和級戦艦を過小評価して、やや遅れて登場したアイオワ級戦艦より弱かったと言いふらす無知なバカが居るけど、大和の46センチ砲の射程距離と破壊力、それに耐え得るだけの防御力を何だと思っているのか。ついでに言うと91式徹甲弾は命中せずに手前の水中に落下しても魚雷のように喫水線下の 大和こそ世界最強戦艦なり!海中を突き進む「秘密兵器」である。アイオワなんて速力と射撃速度と電子装備しか取り柄が無い40センチ砲の攻撃にも耐えられるかどうかも怪しい旧態依然の非力なブリキ艦である。船体構造やダメコンに関しても一代前のサウスダコタ級戦艦と大差無い古臭いものであり、のべ数百機の艦載機の攻撃によってようやく沈んだ大和と比べるべくも無い。レーダー射撃に関してもたかだか命中率5パーセントでは数万メートルもの距離を置いた射撃ではさほど効果も無いだろう。夜間・悪天候下でも発砲炎が目印になれば、優れた光学機器を備えた上に元々砲術の上手い日本海軍であるからハンデも米国が主張するほど大きくは無いはずだ。運動能力、具体的には旋廻能力も大和の方が格段に高かった。小回りが利くのである。一方アイオワは高速ではあるが凌波性も弱く、古臭くて脆い構造と相まってたかが暴風雨で船体が破損した事もある。船体の構造から30ノット以上の速力を出している時は主砲を射撃できなかったとも言われる。晴天であれば弾着観測用に観測機も飛ばせ、アイオワは46センチ砲の長射程によって自分の主砲の射程外から一方的にやられっぱなし、大和は全くの無傷のワンサイドゲーム、というのもあり得るのだ。アイオワ信者の捻くれ者の売国奴ざまぁwww)
http://www.wdic.org/cgi-bin/bbs/test/read.cgi/3/1187747959/

 だが時代は変わる。日本という国を信じて疑わなかった元・愛国少年たちも、さすがに「神国日本」なんて信じてはいない。新生平和日本は憲法第9条(日本国憲法は従来言われていたように米国の押し付けではない。日本独自の憲法である)によって戦争を永久放棄したのだ。
 終戦間近に反乱を起こし伊号403潜水艦(第二次大戦当時世界最大の潜水艦だった伊400級潜水艦の架空の同級艦。攻撃機3機を搭載する潜水空母で、これは戦後その戦術思想が弾道弾装備の戦略型原潜へと結実する)で逃亡し、絶海の孤島で「轟天建武隊」を結成した神宮寺大佐は大日本帝国に殉ずる覚悟を持ったガチガチの帝国軍人であり、あくまで戦争継続を主張する。彼の中では戦争は終わっていないのだ。
 だから、かつての上司であり娘の育ての親でもある恩人・楠見の「ムー帝国と戦ってくれ!」という出動要請にも頑として応じない。轟天は日本海軍の軍艦である、と。
 だが3歳の頃に別れて18年間も会えなかった愛娘・真琴の涙や、その恋人である旗中の「あなたは古い鎧に縛られた戦争キチガイだ!」という罵倒に心を動かされ、世界侵略の魔の手を伸ばす強大なムー帝国撃滅を決意する。
 ムー帝国の守護神である巨大海龍マンダを冷線砲で倒し、帝国の心臓部である地熱エネルギーユニットを破壊した(艦首のドリルが威力発揮)轟天は、見事ムー帝国を敗退せしめる。
 旭日旗。海上自衛隊では現在でも使用されている。 だが海上空高く爆発の噴煙を舞い上げて滅亡していくムー帝国を見る神宮寺の表情は、決して奢り高ぶった勝者のものではない。
 滅び行く誇り高い民族を惜しむ、深い悲しみを浮かべているのだ。
 炎上するカルタゴを見てスキピオは「ローマもいずれはこうなる運命か・・・」と言ったという。
 だが神宮寺は、ムー帝国の姿に祖国・大日本帝国の姿を重ねて見たに違いない。

 (ムー帝国伝説を「でっち上げた」ペテン師のチャーチワード著作によると、日本人はムー帝国の子孫だそうである。「ムー帝国の支配者層は白人であり、従って日本人も白人である」。間違いなくこの本は「トンデモ本」の一つである。日本海軍の旭日旗もムー帝国の紋章に影響を受けたデザインなのだとか。・・・だが「ムー帝国」がデタラメであったとしても、太平洋の島々を巡る文明圏が存在したのでは・・・?という仮説が無いわけではない。バヌアツで発見された縄文式土器ガセネタだったそうだけど)

 そして映画を作った人たち、観客も、かつての栄光の大日本帝国を送り、轟天に象徴される科学技術によって、世界平和と人類の繁栄に貢献する事を誓ったのかも知れない。
 映画『海底軍艦』は、毅然たる軍国日本、誇り高い大日本帝国へのレクイエムなのである。

(『海底軍艦・・・予告編』)



 

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