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 おひさしぶりです(笑
 
 少し前から「チェブラーシカ」にハマってたりします。


 私は東欧やロシアで盛んな、あれらの国々独特のアニメが好きで時々無性に見たくなるんですよ。
 人形アニメ、この、日本や西欧やアメリカではほとんど見向きもされなくなったジャンルにいいものが多いですな。
(アメリカで近年たくさん作られるようになった3DCGアニメ、あれは人形アニメの変化したものかも知れない。チェコの人形アニメは第二次大戦以前からの長い伝統を誇るもので、これはさすがのナチス・ドイツも弾圧の対象にしなかったから生き延びる事ができたそうな。自国に優れた作家を持つ旧ソ連も、衛星国のこの文化を同様に扱ったのだろう)
 
 上の動画は、サルともクマとも付かない正体不明の生き物であるチェブラーシカと親友であるワニのゲーナ。
 最初、私はワニのゲーナというキャラに馴染めなかったのですよ。長い鼻面に鋭い歯が並んだ大きな口。
 一般にワニという大きな爬虫類は獰猛な肉食動物、というイメージが強い。実際に、やや小型のアリゲーターは滅多に人を襲わない(全く襲わないわけではないようだ)が、大型で外見に似合わず知能が高い(イヌやネコと大差無いらしい)クロコダイル種は毎年何人かの犠牲者を出す「マンイーター」である。
  ワニのゲーナはアフリカ出身であり、ナイル河にお祖母さんが済んでいるらしい。つまりクロコダイルなのである。(古代エジプトでも信仰の対象にされていた)
 ・・・若い頃は結構やんちゃしてたんじゃなかろうか(笑 でも50歳の彼は誠実で心優しい紳士である。
 
 物語は果物屋のオレンジの木箱からチェブラーシカが発見されるところから始まる。
 果物屋のおじさんは最初に動物園に連れて行くが、守衛のおじいさん(小銃を持っているのがいかにも旧ソ連らしい)が言うには「こいつはここでは引き取れないよ、学問上何という動物かわからないからね」。
(この動物園はゲーナの「職場」でもある。彼は「ワニ」として働いており、家から毎日出勤している)
 次に連れて行かれたおもちゃ屋でショーウィンドーで客引きの仕事をする事になるのだが、自分が何者であるかわからない、つまり社会に居場所が見当たらない彼は一人ぼっちのままである。(何者なのかわからない物珍しさが店の宣伝には役に立つ、と考えられた)
 同じ頃、一人暮らしをする孤独なゲーナは友達募集の貼り紙を作っていた。(当時インターネットはまだ無い。ちなみに原作の絵本では元々ゲーナが主人公) 
 町のあちこちに貼られた貼り紙を見たチェブラーシカ(彼の仮の住まいである電話ボックスにも貼られていた)をはじめ、様々な人たちがゲーナの家に集まる。
 一人ぼっちなのが自分一人ではない事を知ったゲーナは、一人ぼっちの人たちが集まる家を建てる事を思いつく。
 他人に意地悪をする事に喜びを見出すシャパクリャクばあさん(彼女も孤独なのだ)の妨害を撥ね退け、10日後ついに家は完成する。工事に携わった人たち(人間も居れば、キリンやライオン、イヌもネコもサルも居る。ライオンのレフ・チャンドルと子犬のトービクはゲーナの「友達募集」の貼り紙が元で知り合った間柄)は一緒に一つの目的に向かって努力する、という過程で仲良くなり、家が完成した頃にはすっかり友達になっていた。
 孤独な人たちが集まる家、ではなく、一緒に助け合って家を建てる、という行為が大事だった。家は幼稚園として活用される事になり、チェブラーシカはそこで働く事になる、というのが第1話のストーリーである。
 要するに、アイデンティティと自分の居場所をめぐる物語なのだ。

 第一作が作られたのが1969年。ソ連崩壊など夢のまた夢、米ソ二大超大国が核兵器を抱えてにらみ合っていた冷戦真っ只中の時代である。高度成長期の日本のGNPは前年の68年に資本主義諸国中で第二位に達している。68年の北ベトナム軍によるテト攻勢に衝撃を受けたアメリカが和平も選択肢に加えた頃か。
 どこの国でも、全ての人間が「何者か」である事を要求された時代だった。
(価値観の多様化というものは、冷戦構造が無くなった、いわば「大きな物語」が消滅してからの現象である。何が悪で誰が悪者で、何が正しくて誰が正義か、そういう事をハッキリさせなければならない時代が長く続き、そういう時代の社会では人は必ず、何者かでなくてはならなかった)
 意地悪い物の見方をすれば、チェブラーシカという人形アニメにプロパガンダ臭が臭わないわけではない。
 チェブラーシカは一見背格好や行動・言動からして、人間の幼稚園児相当の存在かと思われる。
 だが社会で働く事を義務と感じ、また憧れてさえいる(アイデンティティとは社会に参加する事である)。
 孤独な人たちが集まるための家を作る、という作業にも、共産主義国お得意の「団結」「労働」「建設」というモットーが見え隠れするようだ。共に働く事が、孤独からの解放につながる、という事か。
 「正体不明」のチェブラーシカは、労働に参加する事によって居場所を得たのである。
(ワニのゲーナでさえ動物園の従業員の一人である。動物も「労働者」であらねばならないお国柄か)
 北朝鮮の子供向けプロパガンダアニメを見た事があるのだけど、あれに比べればチェブラーシカははるかに政治臭が薄い。意識して見なければ気づかない。でなければ世界中で愛されるキャラクターにはなれなかっただろう。


 21世紀に入ってからチェブラーシカが有名になった日本だが、愛される理由の一つはやはりテーマだろうか。
 価値観の多様化が叫ばれ、文化的にも政治的にも少量多品目生産が当たり前になって久しいが、そのフリーダムな状況(善も悪も無い)ゆえに指針を見失って道に迷い、生き方がわからず孤独に陥る人は急増したのじゃないだろうか。自由ってある意味、大変なんですよ。自由なりに。
 共産主義国であった旧ソ連では、現代の日本ほど孤独に苦しむ人は居なかったのかも知れない。
 孤独な人が多い21世紀初めの日本だからこそ、チェブラーシカは殊更に愛されるのだろう。

 
 

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